アプライアンスという専用コンピュータに注目  (2008年04月03日)

 


【Linuxがインストール可能なNASキット「玄箱」】

 「アプライアンス」とは、汎用的な利用を前提とするパーソナルコンピュータに対して、単機能のコンピュータを利用した機器というイメージを持つ。
  「情報家電」という言葉で語られたり、もう少し広がった意味で「ユビキタス」的に語られることが多い。もともと「アプライアンス」は家庭用器具的なイメージだが、我々IT業界にいるものには、特定のソフトウェア機能処理を持ったハードウェア専用機となる。

そして、このアプライアンス機器も、CPUの高性能化、メモリーやディスクの大容量化などでリソースが豊富となり、OS(基本ソフト)を搭載するものが多く、その中核がLinuxとなってきているのは嬉しいことだ。
 ハードウェアが同じであっても、ソフトウェアはファームウェアも含めて書換えることができる。インターネットや家庭内LAN、無線LANなどの普及で遠 隔地との接続は比較的容易になってきている。したがって、FLASHメモリー上のファームウェアを始めとするソフトウェアの更新はサーバー側でコントロー ルすることもでき、様々なアプライアンス機器の可能性が広がってくる。
 また、一般のパソコンに特定の機能のみをインストールしても、立派なアプライアンス機器ができる。サーバーとして利用するアプライアンス機器はこのようなものが多い。
 これらで使用するソフトウェアをオープンソース化していく流れも出始めており、開発の急速な進展とともに管理者による明確なコントロールも重要化してきている。

 


【ネットワーク・プレイヤーのリモコン(左右でメニュー深度、上下で選択)】


パソコンをわざわざ立上げてまでするのは、ちょっと面倒だというものは結構多い。
 google earthをちょっと見たい時にテレビのリモコンで選局と同じように見られたら良いと思うし、internet radioはオーディオ機器のselectスィッチで聞きたい。これらを実現するにはアプライアンス機器よりもテレビやオーディオに機能を組込んでしまっ た方が早いかも知れないが、このような発想をしていくと、パソコンではない専用機器で済ませたいものは以外に多く存在する。
 日常生活に限らず、オフィスでの仕事も同じである。最近はオフィス仕事にシンクライアントを活用する動きもあるが、サーバー設置費用が高価になってい る。メールとWeb、オフィスソフトのみの専用機と共有ディスクのNASがあればその方が安くて便利かも知れない。社内アプリケーションもどんどんWeb 化が進んできているので不自由はなさそうだ。

 


【SlimServerのメニューの一部】


2003 年ころ、洲本市のオープンソース・プロジェクトに参加していた時に、当時の中川市長がよく言っていたことを想い出した。タッチパネルのように操作性の良い Web接続可能な機器を各家庭に置いて、市内の身近な情報端末として活用したい。一般のテレビ放送では東京を中心とした全国のニュースを見せられ続けて東 京中心の生活志向になってしまっている。洲本市ではCATV網を整備して地場のニュースを積極的に流していた。Webも絡めた双方向のコミュニケーション を実現するには、このような端末が必要だった。当初、NTTが始めていたLモードの端末が廉価で使えそうだとか議論していたこともあったが、最有力候補で あったタッチパネル・パソコンの導入は高価な原価が問題となり実現しなかった。
 前回掲載したiPod対抗のネットワーク・プレーヤーなどを見ていると、文字情報中心のシンプルなディスプレイとリモコンでありながら、iPodと同じ ようなメニュー構成での操作性で、使い勝手は大きく向上しているのに気が付いた。タッチパネルやカラーディスプレイなどは当然必要だと思っていたが、もし かしたら不要かも知れない。それならば非常に廉価な市民向け情報端末アプライアンスをつくることもできそうだ。

 


   【2003年7月洲本市オープンソース・プロジェクト発起会の模様】

家 庭内でのネットワークとの接続も非常に簡単になっている。ゲーム機などのネットワーク接続が一般化したこともあって、スィッチを入れて少しの選択だけで自動的にセッティングできるようになっている。このような専用機であるクライアントとこれまた軽い特定機能サーバーを組み合わせて、全体を何か設定したい時 には汎用機であるパソコンや携帯電話でコントロールする仕組みも実現できそうだ。

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